
「純米吟醸と純米大吟醸って、何が違うの?」
日本酒売り場でよく似た名前を見て、「大吟醸のほうが高級なの?」「味もかなり違うの?」と迷うことはありませんか。
結論からいうと、純米吟醸と純米大吟醸の分かりやすい違いは精米歩合です。
純米吟醸酒は精米歩合60%以下、純米大吟醸酒は50%以下の白米を使います。どちらも米・米こうじ・水を原料とし、醸造アルコールを使用せず、吟醸造りで造られます。
国税庁の基準では、香味・色沢についても、純米吟醸は「良好」、純米大吟醸は「特に良好」という要件があります。
ただし、純米大吟醸だから必ず純米吟醸よりおいしい、という意味ではありません。
この記事では、精米歩合の意味から味・香りの傾向、価格だけに惑わされない選び方まで、初心者向けに解説します。分類の違いを知り、自分の好みや飲む場面に合う一本を選ぶ参考にしてください。
情報源・確認時点について:
日本酒の分類や精米歩合などの記述は、国税庁「清酒の製法品質表示基準」および日本酒造組合中央会の情報を中心に、2026年10月時点で確認しています。味や香りは精米歩合だけで決まるものではないため、一般的な傾向として説明します。
純米吟醸と純米大吟醸の違いは「精米歩合」が大きなポイント

まず押さえたいのは、純米吟醸は精米歩合60%以下、純米大吟醸は50%以下という違いです。原料や製法などの共通点も含めて、比較表で確認しましょう。
| 比較項目 | 純米吟醸酒 | 純米大吟醸酒 |
|---|---|---|
| 使用原料 | 米・米こうじ・水(醸造アルコール不使用) | 米・米こうじ・水(醸造アルコール不使用) |
| 精米歩合 | 60%以下 | 50%以下 |
| こうじ米使用割合 | 15%以上 | 15%以上 |
| 製法 | 吟醸造り | 吟醸造り |
| 香味・色沢の要件 | 固有の香味・色沢が良好 | 固有の香味・色沢が特に良好 |
これらは、国税庁の「清酒の製法品質表示基準」などで定められている特定名称酒の表示要件に基づくものです。
ただし、50%以下は60%以下の範囲にも含まれます。名称が精米歩合だけで機械的に決まるわけではなく、純米大吟醸には、吟醸造りに加えて固有の香味・色沢が「特に良好」であることなどの要件もあります。
純米吟醸は精米歩合60%以下
純米吟醸酒は、精米歩合60%以下の白米を使い、吟醸造りで造られた日本酒です。米・米こうじ・水を原料とし、特定名称酒として醸造アルコールを使用しない点は、純米大吟醸と共通しています。
国税庁の取扱通達では、吟醸造りについて、低温でゆっくり発酵させるなど、吟味して製造する方法として説明されています。
純米大吟醸は精米歩合50%以下
純米大吟醸酒は、精米歩合50%以下の白米を使います。純米吟醸と同じく、米・米こうじ・水を原料として吟醸造りで造られます。
さらに国税庁の基準では、「大吟醸」の名称を使用するものについて、固有の香味・色沢が「特に良好」であることも要件とされています。
違いを単純に「米を10%余計に削っているだけ」と捉えるより、それぞれ異なる製法品質の基準を満たした分類と理解するとよいでしょう。
なお、「特に良好」という要件は、すべての人にとって純米大吟醸のほうがおいしい、あるいは純米吟醸より一律に上位であるという意味ではありません。
共通点も多い
どちらも、精米した白米を使う、吟醸造りの純米系の特定名称酒です。醸造アルコールを使用せず、こうじ米使用割合は15%以上という点も共通しています。
共通する原料や製法があり、そのうえで精米歩合や香味・色沢などの要件が異なると考えると、理解しやすくなります。
精米歩合60%・50%ってどういう意味?

精米歩合とは、精米後に残った白米の重量が、もとの玄米の重量に対して何%あるかを示す数字です。国税庁の基準でも、白米の玄米に対する重量割合として定義されています。
計算式は次のとおりです。
精米歩合(%)=精米後の白米重量 ÷ 精米前の玄米重量 × 100
精米歩合60%は「60%削った」ではない
精米歩合60%は「60%削った」という意味ではありません。 玄米の重量を100とすると、40%分を取り除き、60%分の白米が残っている状態を表します。
| 精米歩合 | 重量ベースで取り除いた割合 | 残った白米の割合 |
|---|---|---|
| 60% | 40% | 60% |
| 50% | 50% | 50% |
精米歩合は、数字が小さいほど米を多く磨いていると覚えると分かりやすいでしょう。
なお、この数字が示すのは重量の割合です。米粒の直径や、見た目の大きさの割合ではありません。
精米前の玄米重量を100%として、残った白米と取り除いた部分を比較します。
精米歩合60%
- 残った白米:60%
- 取り除いた部分:40%
精米歩合50%
- 残った白米:50%
- 取り除いた部分:50%
数字が小さいほど、米を多く磨いています。
数字は重量の割合です。米粒の直径や、見た目の大きさの割合ではありません。
なぜ日本酒造りでは米を磨くの?
米を磨くのは、目的とする酒質に合わせて、米の外側に多く含まれる成分を減らすためです。
日本酒造組合中央会の日本酒用語集では、玄米の表層部には、たんぱく質や脂質などが比較的多く含まれることが説明されています。
これらは酒造りに必要な成分でもありますが、多過ぎると香りや味わいに影響することがあります。そのため、吟醸酒などでは米を磨き、使用する部分を調整します。
ただし、米を削るほど、必ずおいしくなったり品質が高くなったりするわけではありません。 精米歩合は酒質を設計する一つの要素であり、日本酒の味はそれだけでは決まらないからです。
純米吟醸と純米大吟醸は味・香りも違う?

味や香りには一般的な傾向がありますが、味だけで純米吟醸と純米大吟醸を明確に二分することはできません。
「純米吟醸なら必ずこの味」「純米大吟醸なら必ずフルーティー」と決まっているわけではないため、傾向と決まりを区別して見ていきましょう。
純米吟醸は香りと旨味のバランスを楽しめる銘柄もある
純米吟醸には、吟醸造りによる香りと、米由来の旨味や酸味のバランスを楽しめる銘柄があります。
使用する米や酵母、麹、発酵条件などによって個性は異なり、次のように幅広いタイプが見られます。
- 香りが穏やかで食事に合わせやすい
- 米の旨味を感じやすい
- 軽快ですっきりしている
- フルーティーな香りを楽しめる
「純米吟醸=濃い」「純米吟醸=地味な香り」と決めつけず、銘柄ごとの特徴を確認するとよいでしょう。
純米大吟醸には華やかで繊細なタイプもある
純米大吟醸には、果実を思わせる吟醸香や、軽快で繊細な味わいを特徴とする商品も見られます。
香りを抑えた食中酒タイプや、しっかりした旨味を持つ銘柄もあるため、純米大吟醸なら必ず香りが強いとは限りません。
分類名は選ぶ手掛かりになりますが、実際の味や香りまで完全に表すものではありません。
味わいは精米歩合だけでは決まらない
日本酒の味や香りには、精米歩合に加えて、さまざまな要素が関係しています。
- 使用する酒米
- 酵母や麹
- 仕込み水
- 発酵温度や発酵期間
- 搾り方
- 火入れや貯蔵方法
同じ「純米大吟醸」でも、酒蔵や銘柄が変われば味わいも変わります。
選ぶときは精米歩合だけでなく、商品説明にある香り・甘辛・酸味・旨味なども確認してみてください。
純米大吟醸は純米吟醸より「上」なの?

純米大吟醸には、精米歩合50%以下など、より限定された表示要件があります。ただし、表示要件の違いを、そのままおいしさの順位と考える必要はありません。
分類上の基準は異なる
国税庁の基準では、純米吟醸酒は精米歩合60%以下で、固有の香味・色沢が「良好」、純米大吟醸酒は50%以下で「特に良好」とされています。
分類上の要件には違いがありますが、これらは、すべての人にとってのおいしさや好みの順位を示すものではありません。
精米歩合が低ければ、自分にとっておいしいとは限らない
華やかで繊細な香りが好きな人もいれば、米の旨味や酸味を感じられる日本酒が好きな人もいます。
料理と一緒に飲むのか、日本酒だけでゆっくり楽しむのかによっても、選びたい味わいは変わるでしょう。
純米大吟醸を、純米吟醸の完全な上位互換と考える必要はありません。自分の好みや飲む場面に合うかどうかも、選ぶ基準になります。
価格の高さだけでも判断しない
一般的には、米を多く磨くほど原料米の使用効率は下がります。高度な精米では、より長い精米時間を要する場合もあり、純米大吟醸には比較的価格の高い商品もあります。
ただし、価格には原料米、精米歩合、製造方法、生産性、販売戦略など、さまざまな要因が影響します。
価格が高いからといって、自分にとっておいしいとは限りません。分類や価格を参考にしながら、求める香り・味・用途から選びましょう。
純米吟醸と純米大吟醸、結局どっちを選べばいい?

どちらを選ぶか迷ったら、飲みたい場面や好みに合う商品を探してみましょう。分類名を手掛かりにしつつ、銘柄ごとの特徴を確認するのがおすすめです。
純米吟醸が向いている人
純米吟醸は、次のような日本酒を探すときの候補になります。
- 香りと米の旨味のバランスを楽しみたい
- 食事と一緒に飲む日本酒を探したい
- さまざまなタイプを飲み比べたい
- 純米大吟醸だけに限定せず、幅広く選びたい
ただし、分類だけで味や料理との相性が決まるわけではなく、すべての純米吟醸が食中酒向きとは限りません。実際の商品説明や、推奨されている飲み方も確認してください。
具体例として、清水清三郎商店の「作 恵乃智 純米吟醸 750ml」は、精米歩合60%の純米吟醸です。公式では、洋梨を思わせる香りと、甘味・旨味、酸味とキレのバランスが説明されています。
純米吟醸を選ぶときに、分類名と個別商品の特徴を照らし合わせる一例として参考にできます。
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純米大吟醸が向いている人
純米大吟醸は、次のような日本酒や用途を検討するときの候補になります。
- 華やかな香りの日本酒を探している
- 繊細ですっきりしたタイプを試してみたい
- 特別な日に飲む一本を探している
- 贈答用として純米大吟醸を検討している
ただし、純米大吟醸であれば自動的にギフト向きになるわけではありません。プレゼントなら、相手の好みやブランド・銘柄に加え、容量、箱の有無、包装、予算まで確認して選びましょう。
具体例として、「獺祭 純米大吟醸45 720ml」は、山田錦を精米歩合45%まで磨いた純米大吟醸です。公式では、米由来の繊細な甘みと華やかな香りが案内されています。
純米大吟醸の中でも華やかなタイプを探すときに、分類と個別商品の特徴を照らし合わせる一例として参考にできます。
⇩獺祭 純米大吟醸45 720mlの商品ページを確認する⇩
(楽天市場) (Amazon)
迷ったら「純米吟醸か純米大吟醸か」だけで決めない
購入するときは、ラベルの分類に加えて、次の情報を見ると選びやすくなります。
| 確認したい項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 香り | 華やか・フルーティー・穏やかなど |
| 甘辛 | 甘口・辛口の表示や商品説明を目安にする |
| 味わい | 軽快・濃醇・旨味・酸味など |
| 飲み方 | 冷酒・常温など |
| 食事 | 推奨されている料理との組み合わせ |
| 用途 | 自宅用・食事・ギフト・特別な日など |
純米吟醸・純米大吟醸という分類は、自分に合う日本酒を探すための入口として使いましょう。
純米吟醸・純米大吟醸という分類を入口にして、銘柄ごとの特徴を確認しましょう。
-
分類を確認
純米吟醸:精米歩合60%以下
純米大吟醸:精米歩合50%以下分類を最初の判断材料にします。名称は精米歩合だけで決まるものではありません。
-
銘柄の特徴を確認
香り・甘辛・旨味・酸味を確認します。
「軽快」「濃醇」「フルーティー」「穏やか」などの商品説明も手掛かりになります。
-
飲む場面と照合
飲み方・料理との相性・用途を確認します。
自宅用やギフトなど、目的に合わせて選びます。ギフトは相手の好みや箱・予算も確認しましょう。
分類だけでは、味や好みとの相性は決まりません。
純米吟醸と純米大吟醸で迷ったときの選び方
目的に合わせて確認したいポイントを、早見表にまとめました。
| こんな人・場面 | 選び方の目安 |
|---|---|
| 精米歩合の違いを基準にしたい | 純米吟醸は60%以下、純米大吟醸は50%以下を基本の目安にする |
| 食事と合わせたい | 銘柄ごとの味や料理との相性を確認する |
| 華やかなタイプを探したい | 純米大吟醸も候補にしつつ、商品ごとの香りを確認する |
| 米の旨味を楽しみたい | 純米吟醸・純米大吟醸の両方から、商品特性で選ぶ |
| ギフトを探している | 純米大吟醸も候補にしつつ、相手の好みや箱・価格を確認する |
| とにかくおいしい方が欲しい | 分類だけでは決められないため、個別商品の特徴を見る |
名前だけで味を決めつけず、分類の意味を理解したうえで個別の銘柄を見ることが、自分の好みに合う一本を選ぶ手掛かりになります。
「純米大吟醸」と「大吟醸」の違いは別の記事で確認

純米大吟醸と大吟醸はいずれも精米歩合50%以下で、主な違いは原料として醸造アルコールを使用するかどうかです。
純米大吟醸は醸造アルコールを使用せず、大吟醸は醸造アルコールを原料として使用します。
この違いや、どちらを選べばよいかについては、次の記事で詳しく解説しています。
→ 【図解】純米大吟醸と大吟醸の違いとは?原料・味わい・選び方を初心者向けに解説
まとめ|純米吟醸と純米大吟醸の違いは精米歩合を覚えると分かりやすい

純米吟醸と純米大吟醸を比べるとき、まず押さえたい違いは精米歩合です。
- 純米吟醸酒:精米歩合60%以下で、固有の香味・色沢が良好
- 純米大吟醸酒:精米歩合50%以下で、固有の香味・色沢が特に良好
どちらも米・米こうじ・水を原料とし、醸造アルコールを使用せず、吟醸造りで造られます。
精米歩合60%は「60%削った」ではなく、精米後の白米重量が、もとの玄米重量の60%に相当するという意味です。
ただし、米を多く磨いているからといって、すべての人にとって純米大吟醸のほうがおいしいとは限りません。味や香りには、使用する米、酵母、麹、発酵条件なども関係します。
分類は最初の判断材料にして、最後は銘柄ごとの香り・甘辛・旨味・酸味や、飲む場面から選びましょう。
「純米大吟醸と大吟醸の違い」が気になる場合は、醸造アルコールの有無を中心に解説した関連記事も参考にしてください。
